NVIDIA Jetson

Jetson NanoをMicroSDカードからM.2 SSDに起動変更する方法

MicroSDカードからM.2 SSD起動に変更するとどうなる?驚異的な速度向上のメリット

Jetson Nanoの起動ディスクをMicroSDカードからM.2 SSDに変更することで、システムの全体的なパフォーマンスが大幅に向上します。特に、データ読み書き速度が飛躍的に速くなり、アプリケーションの起動時間短縮やデータ処理の効率が大幅に改善されるため、AIやロボティクスプロジェクトでの開発がストレスなくスムーズに進みます。

Jetson NanoをMicroSDカードからM.2 SSDに移行することで得られるメリットは多いですが、すべてが利点というわけではありません。ここでは、M.2 SSDへの移行に伴うメリットとデメリットを解説た後、MicroSDカードからM.2 SSDに起動変更する方法解説していきます。

 

メリット

速度の向上

信頼性の向上

大容量ストレージの確保

発熱対策

メリット

速度の向上
M.2 SSDは、MicroSDカードと比べて数倍以上の読み書き速度を持っています。これにより、OSの起動時間が短縮され、アプリケーションの起動やデータの読み書きが大幅に高速化します。特に、AIモデルのトレーニングや大量のデータ処理が必要なプロジェクトでは、SSDのスピードアップが作業効率に直結します。

信頼性の向上
MicroSDカードは、書き込み回数に制限があり、長期間の使用で劣化します。M.2 SSDは耐久性に優れ、データ損失やシステムクラッシュのリスクを低減できます。特に、24時間365日の運用が求められる用途において、信頼性の向上は重要なメリットです。

大容量ストレージの確保
M.2 SSDは、1TB以上の大容量ストレージに対応しており、大規模なデータセットや複数のAIモデルを扱う場合でも、容量不足に悩まされることはありません。

発熱とエネルギー効率
SSDは発熱が少なく、エネルギー効率も高いため、Jetson Nanoの発熱管理が容易になります。長時間の高負荷処理でもシステムが安定して動作するため、デバイスの寿命を延ばすことができます。

デメリット

コストの増加

互換性の問題

 

デメリット

コストの増加
M.2 SSDはMicroSDカードと比べて高価です。特に、大容量のSSDを導入する場合、コストがかかります。コストを抑えたいときは最低限の容量を選択するのも良いです。

 

インストールの複雑さ
M.2 SSDをJetson Nanoに取り付けるためには、ハードウェアの取り付けやソフトウェア設定が必要です。これには、ある程度の技術的知識や経験が求められ、初心者にとってはハードルが高いです。また、クローン作成やブート設定の変更も慎重に行う必要があり、作業ミスが発生するとシステムが起動しなくなるリスクもあります。

 

互換性の問題
すべてのM.2 SSDがJetson Nanoで動作するわけではありません。特に、M.2スロットに対応したSSDの選択が必要です。また、対応していないSSDを誤って選択しないようにしましょう。

 

Jetson NanoをMicroSDカードからM.2 SSDに起動変更する方法を解説

Jetson Nanoを使用する多くのユーザーは、標準のMicroSDカードから起動していますが、使用頻度が高くなり速度や信頼性に対する要求が高まると、MicroSDカードの限界が顕在化してきます。特に信頼性の面で、長期的な運用に不安が残ります。

M.2 SSDへの移行は、こうした課題を解決し、Jetson Nanoの性能を最大限に引き出すための効果的な方法です。

この記事では、MicroSDカードからM.2 SSDへの起動ディスク変更手順を詳しく解説し、パフォーマンスを向上させる方法を紹介します。SSDへの移行により、Jetson Nanoをさらに強力で信頼性の高い開発プラットフォームとして活用することが可能になります。

 

必要なものを準備する

Jetson Nanoの起動ディスクをMicroSDカードからM.2 SSDに切り替えるためには、M.2SSDを購入する必要があります。

どれを選べば良いかを解説します。

M.2の規格の種類とJetson Nanoの対応

M.2 SSDは、コンパクトで高速なデータ転送を実現するための拡張カードインターフェースで、主にSSD(ソリッドステートドライブ)やその他のモジュールに使用されます。M.2の規格にはいくつかのタイプがあります。

Jetson Nanoは、M.2 Type 2230とM.2 Type 2280が利用可能です。

M.2 Type 2230とM.2 Type 2280の違い

M.2 Type 2230

  • サイズ: 22mm x 30mm
  • 用途: 主にコンパクトなデバイスやノートPCで使用される小型のM.2 SSDやWi-Fiモジュールに対応しています。
  • 特徴: 小型でスペースが限られたデバイスに適しており、Jetson Nanoのようなコンパクトなボードに適しています。Jetson NanoのM.2スロットでは、Wi-FiやBluetoothのモジュールを追加するために、Type 2230がよく使用されます。

M.2 Type 2280

  • サイズ: 22mm x 80mm
  • 用途: 高性能なNVMe SSDなどで一般的に使用されます。デスクトップPCや高性能ノートPCでよく見られます。
  • 特徴: 大容量かつ高性能なストレージソリューションを提供するため、Jetson NanoのM.2スロットでは主にストレージの拡張に使用されます。Type 2280は、より大きなサイズと高いデータ転送速度を提供するため、高速なデータ処理が求められるプロジェクトに最適です。

M.2 SSDはどれがよい?

Jetson NanoのM.2スロットは、Type 2230とType 2280の両方に対応しているため、

ニーズに合わせて適切なM.2デバイスを選択できます。

Type 2280は、より大きなサイズと高いデータ転送速度を確保できるため、

高速なデータ処理が求められるType 2280を選択します。

M.2 Slot (Type 2280)がPCIe 3.0 x4

今回、安価で5千円以下で購入できる、256GBを選択しています。

 

M.2 SSD

Jetson Nanoに対応するM.2 SSDを用意します。

Jetson NanoはM.2 Key Mスロットを搭載しているため、NVMeインターフェースのM.2 SSDを選択する必要があります。

容量については、256GBは低価格でおすすです。256GBから1TBの間で選ぶと良いでしょう。また、信頼性の高いメーカーのSSDを選ぶことも重要です。

 

 M.2 SSDアダプタ(オプション)

M.2 SSDをUSB接続できるアダプタを用意します。

アダプタを用意する場合は、購入したM.2 SSDに対応したモデルを選択します。

 

M.2 SSDをアダプタに取り付ける

M.2 SSDにOSをインストールするため、M.2 SSDアダプタに取り付けてUSB接続できるにようにします。

アダプタを開く

アダプタケースを開き、M.2 SSDを挿入できる状態にします。

SSDをアダプタに差し込む

M.2 SSDのコネクタ部分をアダプタのスロットに合わせ

軽く押し込んでしっかりと接続します。

M.2 SSDを固定する

SSDが挿入されたら、付属のクリップ、または小ネジを使用して、

M.2 SSDをアダプタに固定します。

SSDがしっかりと固定されていることを確認します。

 

OSをインストールする

M.2 SSDをM.2 SSDアダプタに取り付けたら、PCへUSB接続します。

OSのインストール方法は、以前、MicroSDカードで

OSをインストールした方法と同じです。

同じことですが、記載しています。

 

NVIDIAの公式サイトにアクセス

お使いのパソコンでWebブラウザを開き、

NVIDIAの公式Jetsonダウンロードページにアクセスします。

以下のリンクから直接ページにアクセスできます
JetPack 5.1.3 SDカードイメージ

ダウンロードされるファイル

 jetson-nano-jp461-sd-card-image.zip

zipファイルを解凍する

 sd-blob-b01.img

イメージファイルのが正常にダウンロードされたかを確認します。

 

最新のジェットパック6.0を使用する場合、Jetson Orin NanoのBIOSが古いためバージョンアップする必要があります。そのため、ここでは、ジェットパック5.1.3.を使用してOSインストール作業を進めていきます。

 

M.2 SSDにOSをインストール

NVIDIA Jetson NanoにOSをインストールするためには、

ダウンロードしたOSイメージファイルをM.2 SSDに書き込む必要があります。

ここでは、Etcherツールを使用して、イメージをmicroSDカードに書き込んでいきます。

 

1 .必要なツールのダウンロードとインストール

イメージファイルをM.2 SSDに書き込むために必要なツール

「balenaEtcher」ツールを準備します。

balenaEtcherツールは、OSイメージをUSBドライブやmicroSDカード、M.2 SSDに

簡単に書き込むことができるフリーツールです。

 

Etcherの公式サイトにアクセスし、

Etcherの公式サイトからお使いのOSに対応するバージョンをダウンロードします。(Windows、macOS、Linuxに対応)

以下のリンクからEtcherの公式サイトにアクセスできます。

https://etcher.balena.io/

 

ダウンロードが完了したら、

インストーラーを実行してEtcherをインストールします。

 

Etcherを使ってOSイメージを書き込む

Etcherを起動します。

Etcherのメイン画面が表示されます。

 

①Flash from file にイメージファイルを選択します。

Jetson NanoのOSイメージファイル(通常は .img または .isoファイル)

を選択します。

②Select tatget にM.2 SSDのドライブを選択します。

③Flash で、M.2 SSDにOS書き込みを開始します。

これには数分から十数分かかりますがMicroSDカード書き込みより数段早く終わります。

 

書き込みが完了すると、Etcherは書き込み内容の自動で検証を行います。

これにより、イメージファイルが正しく書き込まれたことが確認されます。

完了のメッセージが表示されたら、M.2 SSDの準備完了です。

 

M.2 SSDの取り出し

  1. 安全に取り出す:
    • 書き込みが完了し、検証が終わったら、Etcherを閉じてM.2 SSDを安全に取り出します。パソコンのシステムトレイやメニューから「安全に取り出す」機能を使用して、カードを取り外してください。
  2. Jetson Nanoに挿入:
    • 取り出したmicroSDカードをJetson NanoのM.2 SSDスロットに挿入します。M.2 SSDがJetson NanoのOSとして機能します。

 

4. Jetson Nanoのセットアップ

M.2 SSDにOSイメージをインストールしたら、次はJetson Nano本体にM.2 SSDを取り付けてセットアップを進めます。この段階では、MicroSDカードを引き続き差し込んでおくことが重要です。MicroSDカードがJetson Nanoのデフォルトの起動デバイスとなっているため、SSDを認識させる前にいくつかの設定が必要です。

 

microSDカードをJetson Nanoに挿入したままにします。

M.2 SSDを差し込む

②M.2 SSDを取り付けます。

事前に準備したM.2 SSDをJetson NanoのM.2スロットに慎重に挿入し、ネジで固定します。挿入時には、コネクタがしっかりと接続されるよう確認してください。

全てのケーブルを接続して再起動する

SSDを取り付けたら、Jetson Nanoに電源ケーブルやディスプレイ、キーボードなどを接続し、再び電源をオンにします。

 

MicroSDカードからJetson Nanoを起動

MicroSDカードを差し込んだまま起動

Jetson Nanoはこの時点ではまだMicroSDカードから起動します。

MicroSDカードにインストールされているOSを使ってSSDの認識や設定を行います。

SSDの認識確認

起動後、ターミナルを開き、以下のコマンドを使用して

Jetson NanoがM.2 SSDを認識しているか確認します。

lsblk

 

SSDがリストに表示されていることを確認してください。

「nvme」などの名前で表示されていることを確認できれば、認識されています。

 

起動ドライブの変更

Jetson NanoでM.2 SSDを起動ディスクとして使用するには、

extlinux.confファイルを編集して、

ブート先をMicroSDカードからM.2 SSDに変更する手順を説明します。

 

手順: extlinux.conf を編集してM.2 SSDから起動する

1. M.2 SSDのデバイス名を確認する

まず、M.2 SSDのデバイス名を確認します。これにより、SSDを指定するためのパスがわかります。

ターミナルで以下のコマンドを実行し、デバイス名を確認します。

lsblk

 

nvme0n1 などの名前で表示されるはずです。これがM.2 SSDです。

2. extlinux.conf ファイルを編集

次に、/boot/extlinux/extlinux.conf ファイルを編集します。

このファイルで、起動に使用するデバイスの設定を変更します。

ターミナルでファイルを開きます。

sudo nano /boot/extlinux/extlinux.conf

 

ファイル内にある APPEND 行を探します。

以下のような行が含まれています。

APPEND ${cbootargs} root=/dev/mmcblk0p1 rw rootwait

 

この root=/dev/mmcblk0p1 の部分がMicroSDカードのパーティションを指定している部分です。これを、M.2 SSDのデバイス名に変更します。

例えば、M.2 SSDのパーティションが nvme0n1p1 であれば、次のように書き換えます。

APPEND ${cbootargs} root=/dev/nvme0n1p1 rw rootwait

 

3. 変更を保存して終了

編集が終わったら、以下の手順で保存します。

  • Ctrl + O を押して保存。
  • Enter キーを押して確定。
  • Ctrl + X で nano エディタを終了します。

4. 再起動

設定が完了したら、Jetson Nanoを再起動して変更を適用します。

シャットダウンをします。

MicroSDカードを抜きます。

電源を再投入すると、M.2 SSDから起動します。

これでM.2SSDから起動することができます。