Jetson Orin Nanoとは?最新AI開発キットの魅力と性能
Jetson Orin Nanoとは
Raspberry Piシリーズは、多くのエンジニアや趣味で電子工作を楽しむ人々にとって定番のデバイスです。その中でもRaspberry Pi 4 Model Bは、手頃な価格で多機能なマイクロコンピュータとして広く利用されています。しかし、AIやディープラーニングを活用したプロジェクトが増える中で、さらなる性能を求める声が高まっています。
そこで登場したのが、NVIDIAのJetson Orin Nanoです。Jetsonシリーズは、高性能なGPUを搭載し、AIやコンピュータビジョンのプロジェクト向けに設計されたデバイスです。Jetson Orin Nanoは、その中でもコンパクトでありながら、AI推論や画像処理のタスクに強力なパフォーマンスを発揮します。
本記事では、Raspberry Pi 4 Model BとJetson Orin Nanoを比較し、Jetson Orin Nanoの主な特徴やスペック、活用例などを通じて、そのポテンシャルを探っていきます。初心者から上級者まで、幅広い層の開発者に役立つ情報をお届けしますので、ぜひご一読ください。
最新AI開発キットの魅力
AI技術が急速に進化する中、エッジコンピューティングの重要性がますます高まっています。そんな中、NVIDIAが提供する「Jetson Orin Nano」は、AIやコンピュータビジョンを簡単に、かつ強力に活用できる開発キットとして注目を集めています。
このデバイスは、コンパクトなサイズにもかかわらず、驚くほどのパフォーマンスを発揮し、AIモデルの実行や高度な画像処理、ロボティクスなど、さまざまな分野での活用が期待されています。特に、AIやディープラーニングに興味がある開発者や研究者にとっては、非常に魅力的なツールとなるでしょう。
Jetson Orin Nanoは、NVIDIAの最新技術を搭載しており、ラズパイや従来のJetsonシリーズと比べてもさらに高い性能を誇ります。GPUの性能が大幅に向上し、より複雑なモデルのリアルタイム処理が可能となっています。また、これまでのJetsonシリーズと同様に、エッジデバイスとしての省電力性も維持しているため、さまざまな用途に柔軟に対応できる点も魅力です。
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Jetson Orin NanoとRaspberry Pi 4 Model Bの主な特徴とスペック比較
NVIDIA Jetson には、新モデルと旧モデル(2GBと4GB)があります。
2024年8月現在、【旧モデル】Jetson Nano 2GB,4GBは
在庫限りの販売となっています。
【新モデル】Jetson Orin Nano
【旧モデル】Jetson Nano 2GB,4GB
NVIDIA Jetson Orin Nanoの新モデル、旧モデル(2GBと4GB)、
およびRaspberry Pi 4 Model Bのスペックを比較した表を作成しました。
項目 | Jetson Orin Nano (新モデル) | Jetson Nano 4GB (旧モデル) | Jetson Nano 2GB (旧モデル) | Raspberry Pi 4 Model B |
CPU | 6-core ARM Cortex-A78AE | 4-core ARM Cortex-A57 | 4-core ARM Cortex-A57 | Quad-core Cortex-A72 (ARM v8) |
GPU | NVIDIA Ampere GPU, 1024 CUDA Cores | 128-core Maxwell GPU | 128-core Maxwell GPU | Broadcom VideoCore VI |
メモリ | 8GB LPDDR5 | 4GB LPDDR4 | 2GB LPDDR4 | 2GB/4GB/8GB LPDDR4 |
AI性能 | 最大40 TOPS | 最大0.5 TOPS | 最大0.5 TOPS | N/A |
ストレージ | microSD、M.2 Key M (NVMe SSD対応) | microSD | microSD | microSD |
ビデオ出力 | HDMI 2.1, DP 1.2 | HDMI 2.0, DP 1.2 | HDMI 2.0 | 2x micro-HDMI |
カメラ インターフェース |
16-lane CSI-2 | 12-lane CSI-2 | 12-lane CSI-2 | 2-lane MIPI DSI, 4-lane MIPI CSI |
インターフェース | 40-pin GPIO, 3x USB 3.2, 1x USB 2.0, 1x Gigabit Ethernet | 40-pin GPIO, 4x USB 3.0, 1x Gigabit Ethernet | 40-pin GPIO, 2x USB 3.0, 1x Gigabit Ethernet | 40-pin GPIO, 2x USB 3.0, 2x USB 2.0, 1x Gigabit Ethernet |
無線通信 | Wi-Fi 6, Bluetooth 5.2 | 別途モジュールが必要 | 別途モジュールが必要 | Wi-Fi 5, Bluetooth 5.0 |
電源供給 | 5V 4A (20W) | 5V 4A (10W) | 5V 4A (10W) | 5V 3A (via USB-C) |
サイズ | 100 mm x 80 mm | 100 mm x 80 mm | 100 mm x 80 mm | 85.6 mm x 56.5 mm |
価格 | 約$199 | 約$99 | 約$59 | 約$35-$75 |
このスペック比較から、以下のことが分かります。
性能の違い
Jetson Orin Nano(新モデル)は、AI性能やGPUパワーにおいて圧倒的に優れています。最大40 TOPSのAI性能は、Raspberry Pi 4 Model Bや旧モデルのJetson Nanoと比較して、AIやディープラーニングのタスクで非常に強力です。
メモリと拡張性
Jetson Orin Nanoは8GBのLPDDR5メモリを搭載しており、旧モデルやRaspberry Pi 4 Model Bのメモリ容量と比べて大幅に増加しています。これは、メモリ集約型のアプリケーションにおいて有利です。また、M.2スロットによるストレージの拡張も可能です。
用途の違い
Raspberry Pi 4 Model Bは、手頃な価格と汎用性が魅力で、幅広い用途に対応できますが、AIや高負荷な計算作業には向いていません。一方、Jetson Orin NanoはAI、機械学習、コンピュータビジョンのプロジェクトに最適です。
コスト
Jetson Orin Nanoの価格は、Raspberry Pi 4 Model BとJetson Nanoの旧モデル2GBと比べると価格はあまりありません。性能と拡張性に優れたJetson Orin Nanoを使うという選択肢にはいります。高性能が求められる時にとても有効です。
これから、AIやディープラーニングを活用した課題をこなしていく中で、要求される性能を十分に発揮できる選択ができ、どのデバイスが最適かを判断しやすくなります。
NVIDIA Jetson Nano 2GB vs. Raspberry Pi 4 Model B: 価格と性能の徹底比較
コンパクトで手頃な価格のコンピュータは、DIYプロジェクトや学習用のデバイスとして多くの注目を集めています。その中でも、NVIDIAのJetson Nano 2GBとRaspberry Pi 4 Model Bは、特に人気の高い選択肢です。どちらも小型でありながら、様々なプロジェクトに対応できる性能を持っていますが、用途や目標によって適したデバイスが異なります。
価格の比較
Jetson Nano 2GBの価格は約$59で、Raspberry Pi 4 Model Bの価格帯は$35から$75程度です(メモリサイズによる)。価格差がそれほど大きくないため、どちらを選ぶべきかは、目的や必要なスペックに応じて判断することが求められます。
性能の比較
CPUとメモリ
Jetson Nano 2GBは、4コアのARM Cortex-A57 CPUを搭載し、2GBのLPDDR4メモリを持っています。これは、基本的なAIやロボティクスのプロジェクトに十分な性能です。
- Jetson Nano 2GB: 4-core ARM Cortex-A57
- Raspberry Pi 4 Model B: Quad-core Cortex-A72 (ARM v8)
Raspberry Pi 4 Model BのCPUは、Cortex-A72を搭載しており、Cortex-A57を搭載するJetson Nano 2GBよりも新しく、一般的なコンピューティングタスクで優れたパフォーマンスを発揮します。
GPUとAI性能
Jetson Nano 2GBは、128コアのNVIDIA Maxwell GPUを搭載しており、簡単なAIや機械学習のタスクに適しています。AI推論性能は最大0.5 TOPSであり、AIプロジェクトを手軽に始めたいユーザーにとって魅力的です。
一方、Raspberry Pi 4 Model Bは、GPUとしてBroadcom VideoCore VIを搭載していますが、AIや機械学習に特化しているわけではなく、主にメディア再生やグラフィック処理に強みがあります。AI関連のタスクにはJetson Nanoが優れていますが、汎用的な計算や軽量なグラフィック処理においてはRaspberry Pi 4が適しています。
- Jetson Nano 2GB: 128-core Maxwell GPU
- Raspberry Pi 4 Model B: Broadcom VideoCore VI
Jetson Nano 2GBは、AIとディープラーニングのタスクに特化したNVIDIAのMaxwell GPUを搭載しており、コンピュータビジョンやAI推論を行う場合には圧倒的な優位性を持っています。一方、Raspberry Pi 4のGPUは、一般的なマルチメディア処理には十分な性能を持っていますが、AIタスクではJetsonに劣ります。
メモリ
Jetson Nano 2GBは、4コアのARM Cortex-A57 CPUを搭載し、2GBのLPDDR4メモリを持っています。これは、基本的なAIやロボティクスのプロジェクトに十分な性能です。
- Jetson Nano 2GB: 2GB LPDDR4
- Raspberry Pi 4 Model B: 2GB/4GB/8GB LPDDR4
Raspberry Pi 4 Model Bは、2GBから8GBまでのメモリオプションがあり、用途に応じて柔軟に選べます。一方で、Jetson Nano 2GBは固定の2GBメモリのみで、これはライトなAIタスクに最適化されています。
接続性
Raspberry Pi 4 Model Bは、Wi-FiとBluetoothが内蔵されているため、無線接続がすぐに利用できるのが利点です。Jetson Nano 2GBでは、無線通信モジュールが別途必要です。
- Jetson Nano 2GB: 40-pin GPIO、2x USB 3.0、1x Gigabit Ethernet
- Raspberry Pi 4 Model B: 40-pin GPIO、2x USB 3.0、2x USB 2.0、1x Gigabit Ethernet、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0
用途に応じた選択
Jetson Nano 2GBは、AIや機械学習に興味があるユーザーや、これらの技術を学びたい人に最適です。GPUが強力で、NVIDIAのエコシステムにより、AI関連のソフトウェアを簡単に利用できる点が魅力です。また、価格も手頃なので、入門者でも気軽に始められます。
Raspberry Pi 4 Model Bは、汎用的なプロジェクトに最適です。教育用やホームオートメーション、メディアセンターの構築、一般的なコンピューティングタスクなど、幅広い用途に対応できます。特にメモリ容量が多いため、複数のアプリケーションを同時に実行する場合に有利です。
まとめ
少しの価格差で、Jetson Nano とRaspberry Pi 4 Model Bは、異なるニーズに応える性能を提供します。
一般的なコンピューティングや家庭内のプロジェクトを念頭に置いているなら、Raspberry Pi 4 Model Bが適しています。
特にAIやディープラーニングを取り入れたことをする場合、Jetson Nano 2GBが優れた選択肢となります。
価格が近いことを考えると、やりたいことの性質に応じて最適なデバイスを選ぶことが重要になります。